【レビュー】車椅子を語る
- Shinji Ishikawa
- 2021年6月30日
- 読了時間: 5分
更新日:2021年8月14日
僕は車椅子歴26年です。(関連記事→車椅子で歩む人生)
いままで購入した車椅子はたったの3台。ユーザー歴から見ると、かなり少ない方だと思います。今回は、僕の車椅子について詳しく解説していきます。
みなさんは車椅子のメーカーをご存知でしょうか。今は多くのメーカーが車椅子を開発・販売していますが、20年以上前はオーエックスが市場を独占していました。僕が持っている3台の車椅子は、すべてオーエックスのものです。当時は千葉市若葉区にある本社まで訪ねて、色々なモデルを見させてもらいました。
オーエックスはもともとバイクのマフラーをメインに製作している会社なのですが、社長がバイク事故で脊髄損傷となり、そこから車椅子を製作したという経緯があります。なので、車椅子に使われているアルミの削り出し部品などは、もともとバイクの部品に使われていたものが採用されています。
詳しくはこちらの記事をご参照ください↓
また、当時大人気の某ドラマのヒロインが、オーエックスの車椅子に乗っていました。その影響もあって、オーエックスの認知度があがり売り上げも伸びていったのだと思います。
では、僕の歴代車椅子をご紹介します。今回も例の如く、それぞれの車椅子をクルマに例えています。
■1代目:オーエックス『MX-01』
この車椅子はMシリーズの初代のものです。なんと、1995年のグッドデザイン賞を受賞していました。→こちら
オーエックスの車椅子は装備オプションを自由に追加、または選択をしてユーザー好みの車椅子に仕立てられるのですが、僕のMXはオプション追加のない、いわば「吊るし」と呼ばれるシンプルな構成です。
26年前に購入し、現在も屋外用として使用しています。この記事を書いているまさに今、この車椅子のキャスターが壊れました。オーエックスに問い合わせたところ、MX‐01のキャスターはもう取り扱っておらず、「なにそれ?!」と驚かれてしまいました(笑)
クルマでいうと、マツダ・ファミリアです。まだまだ乗るぞ~!
■2代目:オーエックス『MR』
Mシリーズの中でも特にスポーツタイプで、とても軽量で小回りがききます。
このモデルはハンドグリップ(介助用の持ち手)が付いていません。また、アームサポートといわれる肘置き場がなく、サイドガードの部分がプラスチックということもあり座り心地が悪く、これ一台を普段遣いするのはちょっと厳しかったです。
25年前に購入しましたが、現在は実家に眠っています。再び陽の目を見ることはあるのかどうか・・・。
これはクルマでいうと、ホンダ・ビートです。
■3代目:オーエックス『SSR』
フレームはショートタイプ、ブレーキもショートADJタイプを選びました。ちなみに、フレームはレース車と同様のものが採用されているようです。(知らなかった)
これは2011年頃に購入し、現在は室内用として使用しています。
僕が所有している三台の中で一番重い車椅子です。重心が低いので安定していますが、小回りがきかずもっさりした印象です。ただ、フレームは強靭で高剛性なので安心感はあります。
余談ですが、以前勤めていた会社にこのSSRで出社したところ、脊髄損傷の同僚が「売ってくれ。交換してくれ」と懇願してきました。すでに絶版車のため、どうやら貴重な車椅子らしい?です。
クルマでいうと、トヨタ・bBかな。

オーエックスの車椅子は総じて華奢です。乗り方にもよりますが、ブレーキやクロスメンバーなどの部品が壊れやすいです。悪路や段差などを乗り越えたとき、接合部分がバキッと折れることがあったりと強度はイマイチな印象です。
しかしオーエックスのREV(レヴ)というモデルは、ワンピース(一体形成)フレームのため、剛性が高くがっちりしていて安定性は抜群です。横に揺すっても全くグラグラしません。その反面、折りたたむことができないので、普段使いできる範囲は限られてくるでしょう。
脊髄損傷の方にとって、オーエックスの車椅子はホールド感がいいそうですが、切断者の僕には少々難ありです。下肢切断者は足が無いぶん動けるのと、下半身の感覚が残っていることで、オーエックスの車椅子に座っているのが窮屈に感じます。また、座面に傾斜がついているので、股関節が曲がったままの屈曲拘縮(こうしゅく)が助長される姿勢になります。
オーエックス以外にも、スタイリッシュな車椅子を販売している会社はいくつかあります。松永製作所もその一つで、ここはオーエックスの元社員が独立して立ち上げたそうです。
僕がまた車椅子を購入するなら、きっとオーエックスを選ぶと思います。
車椅子のモノ自体の平均値が高いという点と、アフターサービスの良さで、結局ここかなぁと。
そして僕が車椅子を選ぶときの条件は以下です。
・自分の体に合わせてオーダーメイドできること
・長時間乗っていられる心地よさであること
・折りたたんで片手で持ち上げられる重さ、サイズであること
・見た目がやぼったくないもの
あとはクッション選びも超重要です。
自動車や義足においてもそうですが、車椅子にこだわる人はとことんこだわります。
どれも結局は、移動するためのツールのひとつだと僕は考えます。
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