両大腿義足が転倒すると
- Shinji Ishikawa
- 2021年7月23日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年7月31日
みなさんは歩いていて転んだことはありますか?
健常の方が転ぶとなると、何かにつまずいたり足がひっかかったりした場合で、前か横へ倒れる状態を思い浮かべると思います。
その後、つまずいていない方の足を咄嗟に出したり、手を出してどこかにつかまったりして、なんとか床や地面に全身を打ち付けないよう回避する行動を取るはずです。
では、両大腿義足の人が転ぶ場合はどうでしょうか。どんなものか想像ができますか?
今回は転倒にまつわるお話です。
義肢装具士の臼井さんと対談した際、転倒の話があがりました。
(記事はこちら→【対談】PO臼井二美男さん)
臼井さんは両大腿義足の人が転ぶことを「抱っこで持ち上げられてお尻から落とされる」と表現していました。
両大腿義足の人は、両足の足関節と膝が人工物です。人間が備えている感覚やバランス能力は残念ながら装備されていません。制御する筋肉もありません。
つまり、転ぶときは「どの方向にどんなふうに転ぶか」が予測できません。
また、転んだあとの立て直す動作(足を咄嗟に出したりして転倒を回避する反応)はとることができません。
そして、地面から立ち上がるのもかなり大変です。
義足の人の転倒の大きな原因は「膝折れ」です。
膝折れとは、人工的な膝関節(膝継手)が曲がりすぎて=折れて、そのまま真下か前方にガクッと崩れ落ちます。一瞬で地面に落ちてしまいます。
同じ”転倒”という現象・名称ではあるものの、両大腿義足の場合は上から下へ垂直に落されるという表現が近く、まるで落とし穴に落とされるような感覚です。
転落というより即落という言葉がしっくりきます。(造語です。)
僕はいままでに4回転んでいます。
1回目は屋内歩行訓練中に入所施設のフロアで。
2回目は屋外歩行訓練中に公共のエスカレーターを降りるときに。
3回目は屋外歩行訓練中に入所施設の入口の段差で。
4回目は近所のコンビニのドアの前で。
転んだ瞬間は、条件反射で杖を離し両手を地面につきます。
義足が地面に打ち付けられると、交通事故の時のような衝突音がでることもありました。衝撃で何も考えられず、あとから恐怖が襲ってきます。必ず手首を負傷して、恥骨という股間の骨にソケットが刺さります。打ち所によっては死ぬかもしれません。
歩きたての子供や、自転車やバイクに乗りはじめた人には、”転んで体で覚える”といった言葉が使われると思います。
義足ユーザーもある程度は当てはまります。ですが転ぶことは、”転ばない方法”と”転んだあとの立ち上がり方”を知る為に必要だと思います。
両大腿義足は転びやすいのが前提にはあっても、転ぶのが当たり前であってはなりません。
自分の命を危険に晒すだけでなく、周囲の人にも迷惑がかかるからです。障害者だから・義足だから、いつでも助けてもらえるというのは甘えだと思います。
しょっちゅう転んでいる人は、この辺りを理解できていないのではないかと考えます。
転んだら自分で立ち上がるよう努力する。それが出来なければ、別の策を講じなければなりません。立ち上がり方についてはまた別の記事で語ります。
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