両大腿義足の情報
- Shinji Ishikawa
- 2021年5月26日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年7月25日
両大腿義足について、日本では有益な情報がほとんどありません。
検索しても医学的な情報ばかりで、ユーザー自身の声や生活については、あまりにも情報が少ないと感じます。両大腿義足の人はどんな生活を送っているのか、どこで義足を作成したのか、最新の両大腿義足の情報など、知りたい人は多いと思います。
現状を知るには、口コミかユーザー本人に直接話を聞くか、海外サイトを参考にするしかありません。
ということで、今回は両大腿義足に力を入れている海外チーム”Dream Team Prosthetics”ついての話をします。
アメリカのオクラホマ州にある施設です。サイトの翻訳文を一部抜粋します。
私たちは特に両側大腿切断者の治療に焦点を当てています。毎年、米国全土で数百人の両側大腿切断者が見られ、世界中から多くの人が私たちを訪れています。訪れる人の多くは、非常に複雑な切断、短断端、植皮、さらには上肢の問題などを持っています。これらは、十分なサービスを受けられなかったユニークな患者集団です。
私たちは、両側大腿切断者の個々のレベルと手足の状態に基づいて、両側大腿切断者ごとにカスタマイズされた治療計画を作成します。私たちの情熱は、最も困難な症例を治療し、高度な義足技術と教育で彼らの期待に応えるか、それを超えることです。
この文章から、この施設は両大腿義足の症例数と実績が多いことが分かります。実際にTeam Bilateralというものも立ち上げています。
およそ2年前、ここの施設の義肢装具士から「うちで義足を作らないか?」と直接コンタクトがありました。
サイトでも紹介されていますが、ここの施設ではできる限り、A direct skin fit suction socket(直接皮膚にフィットする吸引ソケット)を採用しているようです。
写真をみると、ライナーなどは履かずに直接ソケットを履くようです。バルブのようなものがあるので、そこで吸引されてソケットの中が陰圧になるのかもしれません。
この吸引ソケットであれば、歩くために必要な感覚がダイレクトに伝わるし、ライナーの諸問題も解決するし、僕のような極短断端でライナーが脱げてしまうというトラブルもなくなるかもしれません。しかし、直接ソケットに断端が収納される分、痛みはでないのか、また断端の変化に対応できるのか等疑問は残ります。
そして肝心なことは、僕のような極短断端でもそのソケットが適合するのかどうかという点です。やり取りした際に尋ねたところ、「短断端の人でも大丈夫だよ」と画像を送ってくれました。でも、実際にその人がどれくらい歩けるのか、義足は実用的なのかといったところは不明です。
↓実際のやりとりです。


ここの義肢装具士はとても熱意があって、「君は両足ともC-Legを履くべきだ」とか「一緒にキャンプに参加しよう」と声をかけてくれました。でも僕はやんわり断りました。
理由は3つ。1つは時間がないこと。ここの施設に行くためには、仕事を長期休むか、辞める必要があります。僕は既に一度、義足リハビリのために仕事を辞めた過去があるので、現実的にはもう不可能です。
もう1つは、お金です。旅費で30~40万円かかったとして、施設での義足作成費・リハビリ料など多額の費用がかかります。労災であれば面倒をみてもらえるのかもしれませんが、自損の場合は実費で負担するしかありません。
3つめは、想い描くゴールを達成できるのか、その可能性に賭けるほどの"確証"がなかったからです。仮に向こうが決めたゴールが僕が目指すゴールと一緒だとしても、それが100%達成するかは分かりません。
もしもこの施設や技術が日本国内にあれば、試してみたいと思いました。
確証がなくても「試したい」と思わせるのは、両大腿義足に実績があって、なおかつ義肢装具士も自信を持っていたからです。
日本でもこういう施設が出来て欲しいと願います。
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