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義足の業界事情に思うこと②

  • 執筆者の写真: Kyo
    Kyo
  • 2021年1月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年7月27日


対談形式で、両大腿義足ユーザーである石川さんに質問しました。

今回は“義足業界”がテーマです。




インタビュアー(以下Q):「前回は業者やPOについてお話しました。今回はリハビリテーション、主に理学療法に関して質問させていただきます。

 石川さんは、病院2か所と義足リハビリ専門施設でリハビリをされたとのことですが、実際のところ、病院と施設の違いってありましたか?」


石川(以下A): 「はい、明確な違いがあります。まず、リハビリにかける“時間”、そしてリハビリの“質”、対応してくれる“人”、リハビリをする“環境”ですね。これらがまったく違います。」


Q: 「違いが多いようですね。まず、時間に関してはどんな感じですか?」


A: 「病院は1日多くて1時間半くらい。医療の制度で時間は限られています。しかも、そのリハビリの時間のうち約6割は筋トレでした。だから履いている時間なんてほとんどない。施設に関しては、義足の調整と自主練習の時間が多くて、履いている時間がとても長いんです。」


Q: 「質に関する部分はどうですか?」


A: 「施設では、義足の調整に調整を重ね…それと並行してひたすら歩くって感じです。歩行練習に関しては、理学療法士(以下;PT)が横で歩容をみて、アドバイスやトータル的な面でサポートしてくれました。」


Q: 「それを聞くと、両足切断の人にとって、病院でのリハビリは厳しいのでは?」


A: 「僕の場合は専門施設じゃないと歩けなかったはず。圧倒的に時間が足りなかったと思います。…でも、だからといって時間だけあればうまくいくかと言うと、そういうわけではないと思います。対応してくれる“人”、POとPTが提供するものや、相性が合わないと、ダメなのかなぁと…。」

 「両大腿の場合は、歩けるようになるための、スタートラインに立つまでがとても大変で、病院はそこまでいけるのかな。難しいと思います。」



Q: 「病院と施設の違いで“環境”をあげていましたが…具体的にどういう意味ですか?」


A: 「そうですね…。雰囲気が全然違います。病院はガチガチなんです。医療者と患者という立場が絶対的で、医者の指示にPOやPTが従っていて、その下に切断者がいるという関係図でした。」

 「例えるなら、病院は『会社』ですね。一般企業。上司と部下の関係性で、自由が利かないものでした。対して、専門施設は『学校』でした。学校の先生は医療者で、生徒が切断者。友達とは違うんですが、近しい距離感で義足のことを学ぶことができました。」


Q: 「すごくわかりやすい例えですね。会社と学校。面白いですね。」

 「もうひとつ質問です。理学療法士に対して、何か思うことはありますか?」


A: 「PTって、とてもいろんなジャンルがあるなと知りました。パーソナルトレーナーやヨガなど、そっちにPTがいたりして。活躍しているフィールドがとても広いと思います。少ないかもしれないけど、切断者は一定数いて、PTが義足リハビリをする。かなり特殊で少数な分野なので、義足ユーザーを実際にみたことがないPTも多いと思います。」

 「PTの立場はとても重要だと思います。常に一緒にいて、切断者のことを一番みることになる。義足のこと・メンタルのこと・食事のこと…あらゆる面で頼るのはPTになるんです。PTでも義足のことをたくさん勉強していただいて、切断者をもっと“みて”欲しいです。義足のことが分からなくても、もっと興味をもって欲しいなぁと思います。」


Q: 「近いうちに、理学療法士の方と対談予定です。そちらも楽しみですね。」




義足の業界事情に思うこと、次回がラストになります。

次回はリハビリ医について語ります。お楽しみに!



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