転ばぬ先の杖
- Shinji Ishikawa
- 2021年2月24日
- 読了時間: 3分
更新日:2021年7月26日

僕はT字杖を2本使って歩いています。
『乙武義足プロジェクトを斬る』でも少し触れましたが、
杖をネガティブなものとして捉えている人が多いなと感じます。
たしかに、杖がなければ見た目は良いかもしれません。
荷物が持てるという点でも良いと思います。
ですが、両大腿義足ユーザーに限らず、片足大腿義足ユーザー、もしくは切断者ではない障害者にも、杖が必要そうな人を度々見かけます。
歩けていたとしても転倒しそうな危うさがあったり、歩容がめちゃくちゃだったりすると、
そこまでフリーハンドに拘らなくていいんじゃないかと思ってしまいます。
僕は実際はそこまで杖に頼っていませんが
うねった道や坂道で特に安心感が得られます。また、杖を使うことで内股に力が入りやすく、足を閉じてワイドベースにならずに、歩容を整えて歩くことができます。
もしも僕が杖を使わずに歩いたら、左足を出すときに腰を使って左足を回転させてしまったり、ワイドベースになったりすると思います。それによって歩容が崩れて、疲労感が増大します。歩容が崩れることで恐怖心が募ってくるかもしれません。
杖を使わないという"質"を追い求める人が多いかもしれませんが、歩行は質よりも"量"をとるべきです。
杖を使って歩容を整えて歩く、もしくは安心感を得る、もしくは転倒の危険性を減らすことで、長い距離を歩くことができる。色んな場所を歩くことができる。
そうすると、だんだん歩行に必要な筋肉が鍛えられたり、体がバランス感覚や義足の使い方を覚えたりして、歩容がよくなってくると感じます。
"質より量"を選んで、結果的に"質"も良くなると思います。
余談ですが、僕はリハビリのときに3〜4種類ほどの杖を試しました。
T字杖、ロフストランド杖、ノルディックポール、もちろん杖なしも。
T字杖の中でも、折りたたみ式であったり細いものは頼りないので、太くてしっかりしたものを選定しました。また、杖先が幅広かつ、杖先ゴムが滑りにくい素材を選ぶとより良いです。
「杖を使うと杖に頼ってしまってうまく歩けない」
「杖に頼ってしまうと筋肉が衰える」
といった理由で杖を使わない人がいるかもしれません。
その人の杖を使った歩容があまり良くなければ、歩行指導や杖の使い方の指導が間違っている可能性があります。もしくは、本人の意識的な問題かもしれません。
杖を使ったとしても、杖に頼って歩くのではなく、自分の足や体を使って歩くことが重要です。
「転ばぬ先の杖」ということわざがあるように、転ぶ前に用心して手に杖を持つことは、何も恥ずべきことではありません。
杖を使ったら負け、というような価値観は滅ぶべきだと感じます。
これは車椅子にも言える話なのですが、それはまた別の記事で語ります。
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