【対談】PT渡辺卓馬さん
- Kyo
- 2021年2月10日
- 読了時間: 5分
更新日:2021年7月26日
義足や障害をテーマにした対談シリーズ!
第3回目となる今回は、渡辺卓馬さんとの対談です。

渡辺卓馬さん( Facebook )
今年で29歳、臨床経験は6・7年目の理学療法士。
福岡県出身で現在は千葉県のタムス浦安病院に勤務。
子供のころからスポーツが好きで、そこから理学療法士を目指した。
学生の頃、東京のオリパラ開催が決まって関東に出たいと思い、パラリンピックに着目したところ、義足のランナーに興味をもつ。
病院で働く傍ら、スタートラインTOKYOでもサポートを務める。
はじめましてですが、熱く語ってくださいました。
石川信二(以下;石川): 義足はかっこいいというイメージがありますか?スポーツがきっかけとのことなので、やはり板バネとか。
渡辺卓馬(以下;渡辺): 最初のとっかかりはそうですね。板バネとか、C-Legなどの電子の膝、男の子が好きそうなメカメカしいものを、上手に使いこなしていてかっこいいなぁというのがとっかかりです。
石川 : なるほど。渡辺さんからみて、スポーツをしていない切断者をどう思いますか?
渡辺 : やりたい人がやればいいのかなぁと思います。PTの立場としては、健康面を考えるとやるに越したことはないと思うのですが、だからといってみんなやるっていうのはちょっと違うのかな。でも、身体に障害があるからスポーツを諦めるのは勿体ないと感じているので、そういう人たちにきっかけを与えてあげたいなとは思っています。
石川 : うんうん…実は僕もスタートラインTOKYOのメンバーなんです。幽霊部員なんですけどね。(笑)スポーツしたい人に対して応援したい気持ちもあるんですけど、でも義足でスポーツをしている人ってとても条件がいい人なんですね。片脚の下腿切断だったり…健側があって…より健常者に近い人たちだと思うんですね。だから僕としては、「生活用の義足でいかにうまく歩けるようになるか」を伝えていきたいんです。もっとこう、スポーツではなくてよりリアルな場面を、そういうひとたちを応援したいんですよね。
渡辺 : そうですよね、大多数の人がそうだと思いますよ。
石川 : 渡辺さんは義足リハビリに対して自信はありますか?
渡辺 : はいと言えるように努力しています。理学療法士は10万人に届こうとしているのですが、その中でいうとあるほうだと思います。今の職場は立ち上げから携わっているんですが、民間病院で義足をちゃんとみられるところをつくりたいと思っているんです。もし切断の方がいれば「ぜひ紹介してください、私がみます」と言っています。
石川 : おぉ~!そこまで!
渡辺 : はい。義足をみれますという方たちに比べるとまだまだだとは思います。でも世間一般的なPTよりはみれると思います。
石川 : そうなんですね。切断者って他の疾患に比べると圧倒的に少ないですよね。だから義足をみれるPTも少ない…。では、義足の患者が増えれば、PTも義足をちゃんとみれるようになると思いますか?
渡辺 : うーん…。難しいと思います。どの仕事にもいえると思うのですが、仕事に情熱をささげてその人と向き合わなければ、作業としてはこなせていても、それでみれるようになるのとは違うのかなぁと。あとはPTだけでは完結できなくて、POやDrや行政だったり金銭面だったり…いろんなことが関わってくるとは思いますね。
石川 : なるほど…。どうやったらPTが義足リハビリに自信を持てるようになると思いますか?
渡辺 : まずはうまくいっているケースを知る必要があります。義足を履いてできることとできないことを知らなかったり、セラピスト自身も義足リハビリの成功体験を知らなかったりするので…。うちの職員の中にも「知らない・分からないから、怖い」という人はいます。
石川さんは車いすをつかっていますか?義足は週どれぐらい履いているんですか?
石川 : はい。車いすで移動しています。義足は土日くらいしか履かないですね。
渡辺 : 普段ライナーも履かないですか?あんまり履かないと、ライナーも義足も履けなくなってしまう人も多くて。断端がきつくなったりゆるくなったりして、合わなくならないかが心配になりますね。
石川 : ライナーは義足を履くときくらいしか履かないですね。なるべく食事に気を遣って体重意識してってくらい。今は断端袋を2枚、ライナーの上に重ねて履いています。もう切断して20年以上経つので、ある程度は断端の変化も落ち着いています。
実際のところ、両大腿義足ユーザーで毎日履いている人はそんなにいないと思いますよ。
渡辺 : 義足を履くのって大変ですか?
あと、例えば両足を高齢の状態で初めて切断して、がんばれって応援していいのかなと思うことがあるんですが、石川さんはどう思いますか?
石川 : 僕の右の義足は普通の大腿義足です。左はちょっと特殊な形なので、履くのは大変です。リハビリの時は平行棒の中じゃないと履けなかったんですが、実生活で履いているうちに座って履けるようになりました。
高齢の新規切断の方に対しては…本人の情熱によるのかなと。でも簡単に「やってみな」とは言えないですね自分は。それだけ辛いです。本当に反吐が出るほどつらいし想像を絶するリハビリでした。毎日毎日重い足をつけて歩いて、熱出して寝込んで、でもそれぐらいやらないと歩けないし、条件が悪い人ほどつらいと思います。だからこそ、PTってとても重要だと思います。PTの一言で吹っ切れたこともあるので。
渡辺 : うーん…。PTってかゆいところに手が届かないなぁと思っています。その場でアライメントを直せてもソケットを曲げたりとかの修正はPOにしかできない。そうなると「PTにしかできない」みたいなものがなにかと迷うこともあります。
石川 : 義足をいじれるPTって最強ですね。その辺は専門の領域なので難しいところではありますよね。
渡辺さんはもし両大腿切断になったら、歩きたいと思いますか?そして、今の渡辺さんが担当PTだったら、歩けるようになりますか?
渡辺 : 僕は歩きたいと言うと思うので、PTである自分は歩けるためのすべてをかけると思います。頑張ります。
熱く語っていただき、とても勉強になりました。
ありがとうございました!
ぜひまた対談しましょう!
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