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【レビュー】ottobock C-Leg3

更新日:2021年7月26日

シリーズ物として、今まで僕が実際に試着してみた数々のコンピュータ制御膝継手の印象を、忖度なしにレビューしていきます。


2本目は、オットーボック社の「C-Leg3」(シーレッグ3)についてです。



【はじめに】

義足界では有名なC-Leg。世界中で75,000人以上(2020年時点)に使用されており、コンピュータ制御式の膝継手の中で代表的な存在です。

C-Legは、1997年に世界ではじめて歩行のすべてをコンピュータで制御する膝継手として販売されました。それから数回のモデルチェンジを経て、2021年現在では4代目にあたるC-Leg4が最新モデルです。

今回レビューするのはC-Leg4の先代モデルにあたるC-Leg3です。

今回のC-Leg3もそうなんですが、既存の膝継手は全て健側がある片足切断者向けに設計されています。片足大腿義足ユーザーの多くは、コンピュータ制御膝継手でなくても歩けてしまいます。それは健側が義足側を先行し補えるからです。

ですから、たとえ片足大腿義足ユーザーの間で評価の高い膝継手でも、健側がない両大腿義足ユーザーでは歩けなかったり扱いづらかったりと印象が異なります。健側が無いと歩行は膝継手の性能そのものに左右されます。

僕のような短断端で両大腿切断者の場合は、その膝継手の持つ特徴や性能がはっきりと分かります。



【レビュー】

それではC-Leg3についての評価です。

膝の曲げ伸ばし等の一連の動作を油圧シリンダーで行い、それを各センサーを介してマイクロプロセッサで統合制御しているこの膝継手。実にハイテクそうで、試着するまではワクワクしていました。

でも実際に装着して歩いてみた感想は、そんな期待とはかけ離れていたものでした。


僕が試着してみたときの最初の感想は、「こんなもんかぁ・・・」でした。


コンピュータ制御膝継手の代名詞であるC-Legですから、きっと健常者のように膝を軽く振り出せてスタスタ歩けると勝手に大きな期待を抱いていました。しかし、実際はそれまでイメージしていたものとは異なっていました。

それでも、先にレビューしたリオニー3よりは膝の振り出しが自然で気持ちよく、楽に歩くことができました。

その大きな理由は、重量と駆動装置の違いによるものです。


重量に関してはリオニー3より約500gも軽いです。

「たった500gか」と思われる長断端の義足ユーザーもいるかと思いますが、短断端の場合を想像してみてください。残っているアーム(断端長)が短いと、継続して義足を振り出すためのエンジン(駆動源)も小さいので、義足の重量がとても重要です。たった500g、されど500gなのです。

次に駆動装置についてですが、C-Legは油圧シリンダーを採用しています。

油圧の使用感はとても心地良いです。膝が自然に「じわぁ~・・・」と曲がるあの感じが僕は好きです。また、振り出してから伸展し切るまでの減衰していく感覚(あくまでも感覚です)も、健常者が歩くときのように自然です。


また、C-Leg3はC-Leg4よりも膝の振り出しは軽く、重量もC-Leg4より軽量です。さらにC-Leg3の良いところは、ソフトウェアによる設定項目と調整幅が広いことです。ゆえに、各ユーザー好みのセッティングに細かく合わせることができます。C-Leg4は、進化と共にその辺りが簡素化されてしまいました。とはいえ、機能面でC-Leg4には付随されている便利な機能がなかったりと、旧モデルゆえの問題などはあるのですが、C-Leg3は良い具合に荒削りで、アナログな面を持ち合わせている膝継手だと思いました。


「高価だからきっと高性能」は、義足には当てはまりません。何をもって高性能かを評価するのが大変難しく、使う人の状態やニーズによって、それぞれ求められる性能が違うからです。


モデルチェンジをするたびに進化しているC-Legは、やはり万人受けするバランスの取れた良い膝継手だと思います。


最後に、この膝継手を自動車に例えてレビューを締めたいと思います。


C-Leg3は、メルセデス・ベンツ W211なり。


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