義足は「かっこいい」?
- Shinji Ishikawa
- 2021年4月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2021年7月25日
義足を履いている人なら誰しもが反応するであろう「かっこいい」という言葉。
義足に携わる人に、どうして義足に興味を持っているのかと問うと、半数以上が「義足がかっこいいから」と答えます。実際はそれ以上かもしれません。
パラスポーツで走っている人を見て…高機能膝継手がメカっぽくて…かっこいいから興味がある。そんなふうに答える人がとても多いです。
たしかに、切断者や義足ユーザーに全く触れる機会のない人たちにとっては、良い入り口になると思います。ロボットのような無骨なフォルムや、逆に義足っぽさをなくし造形美を追求したものなどは、古い義足と比べて人目を惹きます。
そこが入口になるのは良いと思いますが、「義足はかっこいい」で立ち止まってしまうのではなく、その一歩先を見たり考えたりして欲しいです。
たとえば僕はスポーツカーに乗っていますが、車を褒められてもあまり嬉しくありません。
車を褒められるより、運転を褒められた方が嬉しいですし心にも響きます。
それと同じで、義足そのものを褒められるよりも、僕が義足で歩いている姿を見て「かっこいい」とか「良く歩けますね!」と言われた方が、嬉しいですし自信にも繋がります。
レーシングドライバーは組み上げられたマシンをドライブします。マシンのフォルムは格好良さを追求しているのではなく、より速く走るためにあのフォルムに至り、いわば合理的なデザインとなっています。
僕も同じで、いまの義足パーツが自分にとって最高の組み合わせだから、それで歩いているだけのことです。結局、僕にとって義足は歩くための道具に過ぎません。
僕は両足とも義足を剥き出しにして歩いています。
外装という義足を隠すものや、最近流行り出したお洒落な義足カバーもありますが、僕はそれらをつけません。つけると重くなったり扱いにくくなるからです。そもそも外装に興味がないからという理由もあります。
また「なぜ左足もC-Legにしないのか」とよく聞かれます。
きっとこれを聞く人は、両足とも同じ膝に揃えればかっこいいのに…といった、見た目に対する固定観念があるのだと思います。
(※なぜ左右違う膝なのかは別の記事で語ります。)
フォルムに拘らず機能や合理的な観点でいまの義足を履いているので、義足のフォルムばかりに関心が集まるのは少々複雑な気持ちです。
もしも僕が足を切断したばかりの時に「義足ってかっこいいよね!最近はおしゃれな義足もあるし!」なんて言われたら、少し反抗したくなると思います。
生身の足の方がよっぽどかっこいいです。
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