床から立ち上がるには
- Shinji Ishikawa
- 2021年8月9日
- 読了時間: 3分
両大腿義足で転倒するとという記事で、転倒について触れました。
両大腿義足はつねに転倒の恐怖と隣り合わせです。そして、転ぶと立ち上がるのに大変苦労します。
みなさんは転んだり床へ座ったりしたあと、どのように立ち上がりますか?
イメージはしても、実際はどんな方法かなんて考えずに立ち上がると思います。健常者が気にせずに行える動作は、義足ユーザーにとっては至難の業です。
健常者の立ち上がり方にはいくつかのパターンがあります。
しゃがんだ姿勢から立つパターン、手をつかわず片膝を立てて立つパターン、クラウチングの姿勢で両手を使って立つパターン、両手をついて高這いで立つパターンなど様々。
どのパターンにせよ、立ち上がりには筋力(主に膝を伸ばす筋、体幹筋など)とバランス能力が必要とのことです。
では、僕の床からの立ち上がり方法を説明します。
まずは長座位という姿勢をとります。足を伸ばして座った状態です。その後周囲を見て、つかまれそうな場所(壁・ベンチ・手すりなど)を探し、そこまで這って移動します。

そこから右足を軸に回旋し、


左足を床について高這いの姿勢になります。
※高這い:膝と肘を伸ばしたハイハイの姿勢

高這いの姿勢のまま、つかまれるところまで移動し、手をつかって体幹を起こしていきます。だいたいここまで20秒ほど。


では、どうしてこういった方法で立ち上がるのかを解説していきます。
大腿切断をすると膝を伸ばす筋力が失われます。膝の屈伸運動を補助する義足は今はありません。なので、膝を伸ばす動作がメインになる立ち上がり方法は基本的に無理です。先述したしゃがみ姿勢や片膝立ち姿勢から立つことは不可能です。
そして僕の場合は左足が短断端でソケットの形状が特殊なこと、また固定膝であるということを踏まえると、必然的に高這い姿勢での立ち上がり方法となります。
高這い姿勢からどこもつかまらず、ピョンと体幹を起こす方法があります。
この方法は僕の場合ソケットがお腹に刺さってしまいます。そして体幹前傾の角度が深いので、体幹筋力(主に背筋)が必要です。身体を鍛えていない一般の義足ユーザーには、この方法は不可能です。となると、どこかつかまる場所やモノが必要となります。
僕は壁を使って立ち上がることができますが、これには上半身と体幹の筋力が重要です。ほとんど下半身の力は使っていません。
筋力やバランス感覚も重要ですが、立ち上がりには体重と身長が大きく関わってきます。
体重が重く、かつ身長を高く設定してしまうと、両大腿義足ユーザーは立ち上がることができません。なので、日ごろから体重を増やさないようにしたり、義足長を長くしすぎないように工夫しています。
・・・余談ですが、膝の屈伸運動を補助する義足は今はないと書きました。
以前、次世代の膝継手についてという記事で「パワード膝継手」をご紹介しました。
この膝継手なら、モーターアシストで膝の伸展が補助され、立ち上がりが楽になるのでは?と期待が膨らみます。
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